観光地 客足“失速”!?
うどん店あきらめ顔
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20110616-OYT8T01117.htm 県外から訪れた観光客数と自動車利用者数の推移
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20110616-544343-1-L.jpg 「1000円高速」でにぎわううどん店。制度中止以降は、来県者数が大幅に減少する可能性がある(綾川町で)
高速道路の土日・祝日上限1000円割引制度と無料化実験が
19日に中止されることで、県内にも大きな影響が出そうだ。
訪問者数増加など、一定の効果が出ていただけに、観光地や讃岐うどん店などからは
今後を不安視する声が上がる。高速道路に旅客を奪われてきたフェリーや鉄道会社も、
「一度離れた客は戻らない」と悲観的だ。(杉山正樹)
■大幅値上げ
「1000円高速」は2009年3月、ETC搭載車を対象に東京、大阪などの大都市部を除く地方区間で始まった。
無料化実験は昨年6月から行われている。中止は、東日本大震災の被災地復興の財源確保のためだ。
ただ、20日午前0時以降も割引そのものは続けられる。
地方区間では休日は50%、平日は時間帯に応じて30〜50%割り引かれるが、
それでも1000円高速を利用してきた人にとっては大幅な値上げとなる。
例えば、休日の普通車料金は、高松中央インターチェンジ(IC)から広島ICまでは現在2000円だが、
中止後は4050円と、2倍になる。現在3060円の阪神高速梅田IC(大阪市)までは
4660円に、1000円の松山ICまでは1900円になる。(つづく)
■7割強
1000円高速は観光客の増加につながっていた。
県観光振興課によると、制度が始まった09年の来県者数は前年比7・1%増の871万9000人。
昨年はさらに伸びて、880万9000人と、瀬戸大橋が開通した1988年に次いで2番目の多さだった。
同課は「7割強が車での来県で、中止で四国に来る敷居は高くなる」とする。
実際、本州四国連絡高速道路会社は、休日の普通車の利用台数は34%減少すると予測している。
休日には長い行列ができていたうどん店も影響は避けられそうにない。
県内の製麺業者などが加盟する県製粉製麺協同組合の安藤弘専務理事(67)は
「かなりの効果があったので反動は大きいと思うが、復興のためなら中止もやむを得ない」とあきらめ顔だ。
国の特別名勝・栗林公園(高松市)の担当者も「大震災に加え、マイナス要因になる」とみている。
■交通機関
一方、1000円高速で打撃を受けた交通機関の間にも中止を歓迎するムードはほとんどない。
JR四国の泉雅文社長は「引き続き各種割引が残る」として、
昨年度、過去最低の719万8514人を記録した瀬戸大橋線の利用旅客数回復には直結しないとの見方を示す。
09年度の輸送人員が前年度より2割以上減少した宇高航路を持つ四国フェリーも
「お客が戻るわけではない」(堀川満弘副社長)と冷ややかだ。
四国経済連合会の常盤百樹会長は16日の記者会見で、
「交流人口の拡大や公共交通機関の問題など多面的に考えていかなければならない」と述べ、
1000円高速後の県内活性化のため、新しい戦略を打ち出す必要性を指摘した。
(2011年6月17日 読売新聞)