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「植樹祭を林業再生のきっかけに」

　第62回全国植樹祭が22日、田辺市の新庄総合公園で開かれた。天皇、皇后両陛下をお迎えし、
森林の未来を担う子どもたちを主役にした和やかな大会だった。

　▼植樹祭は１９５０年、戦争で荒廃した国土再生の願いを込めて始まった。その象徴的な行為として、
天皇陛下はウバメガシなど３種、皇后さまはヤマザクラなど３種の苗木をお手植えになり、コウヤマキなどの種をまかれた。
参加者も全員が竹のポットに種をまき、豊かで多様な森林を育てていくと誓った。

　▼日本は国土の３分の２を山林が占め、世界でも有数の森林資源のある国である。
和歌山県でも戦後、人々が営々と植えてきたスギやヒノキが用材として使える時期にさしかかっている。

　▼しかし、その価格は30年前の４分の１ほどに下落、小規模な林業は、産業として成り立つ限界を超えたといわれる。
後継者も少なく、造林から伐採、搬出までの技術の継承も容易ではない。

　▼けれども、国土を緑化し、山林を守っていくためには、その担い手である林業が産業として成り立つ仕組みを確立する必要がある。
木材搬出道路の整備から、間伐材を利用したバイオマス発電まで、あらゆる政策に国を挙げて取り組まなければならないのである。

　▼その意味では、原子力発電頼みの政策に疑問が突きつけられているいまが好機である。
この植樹祭を山の資源を生かし、山村の暮らしが成り立つ仕組みを創造するきっかけにしたい。　（石）
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