東京電力は、ことし3月期の決算で、福島第一原子力発電所の事故を収束させるための
費用などおよそ1兆円に上る特別損失を計上し、最終損益はおよそ1兆2000億円の
赤字と、創業以来、最大規模となる赤字決算に転落する見通しになりました。
東京電力は、東日本大震災に伴う福島第一原発の事故への対応で、ことし3月期の決算が
巨額の赤字となり、清水正孝社長が、20日、発表することにしています。具体的には、
▽原子炉を冷却するなど、事故の収束に向け4000億円程度を計上するほか、▽1号機
から4号機までの原子炉を廃炉とするのに備える費用、▽さらに停止していた火力発電所
を復旧させる費用も含め、合わせておよそ1兆円の特別損失を計上する方針です。
この結果、最終的な損益は1兆2000億円規模の巨額赤字に転落する見通しで、財務体質は
大きく悪化することになります。また、今年度も、事故の収束や廃炉にかかる費用に賠償
金の負担も加わり、厳しい経営が続く見通しです。東京電力は、すでに代表取締役8人の
報酬の全額返上や社員の大幅な給与削減に踏み切る方針を示していますが、これに加えて
27ある保養所や運動場、子会社や関連会社の株式の売却も進めることで経営の合理化を
図ることにしています。また、勝俣恒久会長と清水正孝社長は、経営責任を取っていずれ
退任する意向を示していますが、東京電力社内には事故の収束にめどがつくまでは留まる
べきだという声も強く、20日の取締役会で首脳人事を決定する方針です。東京電力の
賠償金の支払いで、政府は、国が関わる支援の枠組みを作ることを決めていますが、東京
電力の財務状況の悪化が避けられないなかで、この枠組みに必要な特別立法がいつ成立
するかが大きな焦点となっています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110520/k10013001011000.html