福島県、4町に原発事故連絡せず 緊急回線途絶
福島第1原発と第2原発の事故発生直後、福島県が防災計画の対象である周辺6町のうち4町と連絡を取った記録がなく、
事故発生や避難指示を伝えていない可能性が高いことが13日分かった。
放射性物質の影響について正確な情報がないまま、楢葉、広野両町は住民を自主的に避難させた。
地震や津波により緊急連絡網が不通となったためで、複合災害を想定しない防災計画の甘さが“本番”で露呈した形だ。
原発事故などの原子力災害への対応では、体感できない放射性物質や放射線が大きく影響するため、
県の地域防災計画や原子力安全委員会の防災指針は、緊急時の「正確で迅速な情報提供」を特に強調している。
県によると、緊急連絡網は県と原子力災害の拠点・オフサイトセンター、
各原発から10キロ圏内のEPZ(防災対策の重点実施地域)の6町などをつなぐ専用デジタル回線で、電話やファクスのほかテレビ会議もできる。
3月11日の震災直後、センターは非常用電源が落ち回線が不通に。
一般電話や携帯電話もかからず、県原子力安全対策課の災害用衛星電話3台のうち1台を東京電力との連絡専用としたため、残りが自治体との主な連絡手段となった。
県の記録では、午後5時10分、第1原発のある大熊、双葉両町に原子炉の冷却装置の異常を連絡。
午後9時前には半径2キロ圏内への県の避難指示も両町に連絡した。だが、ほか4町への連絡の記録は残っていなかった。
防災計画は経済産業省原子力安全・保安院や事業者が自治体に連絡することも規定。
保安院は「県とセンターを通じて避難指示を連絡した」としたがセンターには記録がなく、東電は「ファクス送信後に電話した」としたが、受信が確認できていない自治体も。
連絡がなかったとみられる4町のうち、第2原発が立地する楢葉町と、同町の南側に隣接する広野町は、テレビ報道などを受け、独自判断で住民避難に踏み切った。
楢葉町の場合、12日早朝に方針を決め、第2原発から約30キロのいわき市への避難を始めた。
町環境防災課は「町民の命を守れるのは役場しかない。危険になる前に呼び掛けた」としている。
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011051301000974.html