みちのく食の旅 春の香り 味わい最高
▽ 羽黒山のギョウジャニンニク
山伏修験の場として知られる山形県鶴岡市羽黒町の羽黒山。麓(ふもと)の杉林で、ギョウジャニ
ンニクが茎を伸ばし、葉を開いた。「今が食べごろ。柔らかい新芽はうまいぞ」というのは、地元で
18代続く山伏の星野博さん(50)だ。
ギョウジャニンニクは、山伏が修行の最中に山間で見つけて食べ、精をつけたことから、名付けら
れたと言われる。
「群生地があるのは月山の裏側。そうそうは行けない」。星野さんは10年ほど前、杉を間伐した跡
に株分けしたギョウジャニンニクを植えた。杉林は日陰で湿気があり、山菜に適している。株が増
えると種を取り、畑数カ所にまいた。種から食べられるようになるまで5年はかかるが、約6アール
に広がった。
星野さんは春に収穫したギョウジャニンニクを真空パックで冷凍。7月1日の月山の山開きから8
月中旬まで、自宅の宿坊「養清坊」で、しょうゆ漬けや酢みそあえなどにして提供する。
「もったいないんだよね。本当は採りたてがおいしい。香りもよく、てんぷらにすると、ほこほこして。
塩味のやきそばやパスタに入れてもうまい」
強烈なニラのようなにおいを嫌う人もいるが、「あれこそ春の大地の力強さ。雪に閉じこめられた
生活からやっと開放され、味わうのは最高」という。
この星野さんのギョウジャニンニクに目をつけたのが、鶴岡市内にある「庄内映画村」の直営居酒
屋「鍋屋庄左衛門」。てんぷらと蒸し料理にして出している。「羽黒山の味を味わってほしい」(岡
田和彦)
http://mytown.asahi.com/yamagata/news.php?k_id=06000001105070004