「点心」――。「飲茶(ヤムチャ)」とは、切り離せない。
広東料理の文化圏では、「点心」を食べながら、お茶を飲む。
3月の初め、大阪の「予約がとれない中華」で有名な店の大澤シェフからお誘いがあった。
今度点心を出す店をオープンするので、食べて感想を聞かせてほしい、という誘いであった。
大阪での教室のあと、まだオープンしていない店を訪ね、食べて驚いた。
「上品な味わい」の点心の数々がそこにあった。しかももっと驚いた。シェフが指導をしながら、
点心を作っているのは弱冠21歳の女性の点心師。発想力豊かなシェフのイメージを生かし、
しかもオーソドックスな点心の各種を作り上げている。
まさにゴールデンコンビで、その出来ばえは見事に、「気品があり、清楚でありながら、
力を感じさせるもの」であった。香港の「上品タイプ」の一流点心師に負けない味だ。
点心師の彼女が作るものは、完成度が高く、長く印象に残る味である。
たぶん本人は、まだ自分の実力に気づいていない。この若さである。天賦の才があるのだろう。
逆に、若くしてここまで完成されていると、これから先、どうように自分の味を伸ばしていくのか、
大変だろうな、と心配になるくらいであった。
http://www.asahi.com/world/china/cha/TKY201104260245.html