東京「花見は不謹慎」 陸前高田市民「花見しようぜ!」 東京「!?」
津波で市街地が壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市で、お花見の企画が持ち上がっている。
発起人は避難所で暮らす被災者たちだ。「復興の第一歩にしたい」。がれきが散乱する街を見下ろせる避難所で、
住民たちは桜が咲く日を待ち望んでいる。
同市気仙町の成田山にある避難所は、急勾配の六十数段の石段を上るとたどりつく。寺の境内にブルーシートを
屋根代わりにして約10人の被災者が暮らす。その周りには数十本の桜が街を見守るように並んでいる。
同市では毎年、地元の酒造会社の敷地にある約100本の桜を一般開放した「陸前高田さくらまつり」が開かれていた。
だが、酒造会社は津波で流されてしまった。
住民代表の佐藤直志さん(77)は、被災者たちの表情や破壊された街をみていて、このままではいけない、と感じたという。
「地元の小唄にも桜が名物として語られていて、桜は重要な存在。残った成田山の桜を見ながら盛り上がって、復活への力にしよう」と考えた。
お花見は、桜の開花が予想される17日に行う予定。企画に賛同した県議やボランティア団体もインターネットやツイッターで
参加を呼びかけている。当日は、郷土芸能も披露される予定で、花見企画は予想以上の盛り上がりだ。
避難生活を送る菅野剛さん(61)も「早く日常に戻したい。そのためにも、恒例の花見を開くことは意味がある」と心待ちにしている。(杉崎慎弥)
http://www.asahi.com/national/update/0409/TKY201104090184.html