工業品も放射線「風評被害」 輸出前の検査、専門機関に依頼殺到
東京電力福島第1原子力発電所事故の影響で、日本からの工業品輸出が滞る懸念が強まってきた。
放射能汚染への不安から食品だけでなく、工業品でも日本からの輸入に対し、海外の通関当局が、
事前通告なしに放射線量の検査証明を求めるケースなどが多発。
輸出業者や船会社は、船積み前に証明書を取得する自己防衛に動き出しているが、国内の専門機関は
検査依頼の急増に悲鳴を上げる。科学的なデータに基づかず、一律に線量検査を課す動きが各国に広がれば、
日本企業の輸出業務が大きく停滞する可能性がある。
先月末、国内最大のタオル産地として知られる愛媛県今治市の四国タオル工業組合(愛媛県は、「今治タオル」の
ブランドの売り込みに出かけたイタリアで、思いがけない足止めにあった。持ち込んだタオル製品に対し、
ローマ空港の税関で突然、放射性物質の検査を求められたのだ。困惑しながらも現地の企業に検査を依頼し、
その場を切り抜けたが、輸出拡大への期待はすっかり出鼻をくじかれた。
これを受け、地元の今治商工会議所は今後の輸出に向け、文部科学省による今治市の大気中の環境放射線量の
データに基づく証明書を作成、製品に添付することを検討しているが、今治タオルの事例は氷山の一角だ。
放射線量の検査を手がける日本海事検定協会(東京都中央区)によると、これまでは工業品輸出に絡む民間からの
線量検査の依頼はほぼゼロだったが、東日本大震災後の約3週間で民間企業からの検査依頼は約130件に急増。
「海外の検査対象は、電子部品といった工業品からコンテナや船舶そのものにまで広がっている」という。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110407/biz11040721300038-n1.htm