>>198 戦後間もない頃の話、昭和30年頃
専業農家だったカーチャンが小学生だった頃まで、牛を飼ってたそうだ
その牛に朝夕、畑の草を食わせに行くのがカーチャンの仕事の一つで毎日散歩のようにやってた
小さい頃に家にやってきた牛はひどく懐いて、
何も言わずともカーチャンについてくるようになって本当に仲良しになった
しかし、数年経ってカーチャンが中学生になったある日・・・
カーチャンが学校から帰ると、家の前にトラックが
カーチャンがバーチャンに「これ、なんのくるま?」と聞くと「・・・牛、連れて行くんよ」
カーチャンはそれで全てを悟って、泣き叫んで暴れて嫌がった
それを見た牛はポロポロと大粒の涙を零しだした
だけれど、牛は、自分がどうなるかを悟ったかのように、動かず暴れたりせず、立ったまま泣くだけ
牛はトラックに乗せられてポロポロ涙流したままカーチャンをずっと見てた
そこでバーチャンが「あぁ、あれはあんたを妹のように思ってたんねぇ」
カーチャンが正気に戻ったとき、業者もバーチャンもカーチャンも牛もみんな泣いてたそうな
業者が言うにはそこまでの牛と娘はめったにいないとか
そういう経験を経たカーチャンは今でも動物を愛するバーチャンになっている
人間は他者の死の上で生きてることを忘れちゃいけない、と教えてくれた時に言われた話のひとつ