選抜高校野球大会は予定通り、23日に開幕する。
避難所で給水ボランティアを行っていた宮城の東北高校野球部ら被災地の代表校は、
被災者の声援を背に甲子園球場に参集した。
つらい思いでいる地元の人々を少しでも元気づける活躍を期待したい。
一方でプロ野球のセ・リーグは開幕を25日から29日に延期した。
4月3日までナイターは行わないというが、開幕を4月12日に延期したパ・リーグに比べ、あまりに小幅だ。
これでは理解を得られない。再考を求めたい。
発表によれば、ナイターは巨人がホームに戻ってくる4月5日から始まる。
東京ドームのナイター開催日の消費電力量は、一般家庭の約4千世帯分にあたる5万〜6万キロワット時になる。
巨人と東京ドームは、電光掲示板の自粛などで4割程度の節電が可能としているが、
それでも屋外球場の通常ナイターより電力量は大きい。
東京電力は現行の計画停電の期間を「少なくとも4月いっぱい」と説明している。
突然の大規模停電を防ぐため、各企業や家庭が節電に協力している中で、東電管内でのナイターは自粛すべきだ。
開幕の延期は文部科学省の自粛の求めに応じたものだが、そもそも球界が自身で常識的に判断すべき問題だった。
日本野球機構(NPB)の加藤良三コミッショナーは「プロ野球選手にとり、
この困難な状況で真剣勝負をお見せすることが期待される責務だと考える」と話した。
確かに、スポーツが被災者らに勇気を与えることは間違いない。
だが、今後の被災地の復興とともに電力供給がますます逼迫(ひっぱく)するのは確実だ。
大電力を消費する東電管内でのナイター興行は、明らかに復興の妨げとなる。
労組プロ野球選手会は被災地を思いやり、一貫して開幕の延期を求めてきた。
選手が自粛を申し合わせていることも、尊重すべきだろう。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110321/dst11032103070011-n1.htm