史上7人目の日本人F1フルタイムドライバーとして世界の大舞台で活躍し、常に注目を集めてきた佐藤
琢磨さん。華やかなF1GP(フォーミュラ1グランプリ)へのチャンスをつかみ、海外で移籍しながら、チー
ムと仕事に取り組んできた佐藤さんの仕事哲学とは?
F1ドライバーは子どものころからレーシングカートに乗ってきた人がほとんどですが、僕はそうではあり
ませんでした。スタートは19歳と遅かったんです。
物心ついたころから乗り物は大好きで、僕が10歳のときに父が鈴鹿サーキットの日本GPに連れて行っ
てくれました。エンジン音が全身に響く中、目の前でアイルトン・セナのクルマが走り抜ける。ものすごい
衝撃でした。その日からF1への強い憧れがずっと胸の中にありました。でも、子どもが自由に乗り回せ
るものといえば自転車くらい。僕も「今日はあのコーナーを少し早く抜けたぞ」なんて、自転車をクルマに
見立てては、夢中で走らせていました。
本格的に自転車競技を始めたのは高校に上がる頃。スポーツ用自転車を取り扱う地元のプロショップで
クラブ員になり、そこで大人たちに混ざって練習をしたりレースに出場したりするうち、同年代の中で自
分の実力を試してみたくなりました。でも、自分の高校には自転車部がなく、インターハイに出場するに
は学校の高体連加盟が必要でした。そのとき3年生だった僕にはラストチャンスで、担任の先生に顧問
をお願いして、二人三脚で自転車部を立ち上げたんです。先生は自転車のことは全く知らなかったけど
、大会に出場するための環境を一生懸命に整えてくれました。僕は夏の全国大会を目指して猛練習に励
むいっぽう、出場権のないジュニアオリンピックでは観客席でビデオカメラを回し、インターハイで争う選
手たちの走りを分析。「自分にできることをすべてやり尽くす」。時間も経験もない僕にとっては、それが勝
つために当然のことでした。そして、インターハイで悲願を達成してからは、自転車競技でオリンピックを
目指したいと本気で思い始めました。
http://r25.yahoo.co.jp/spcate/wxr_detail/?id=20110311-00005695-r25