“親孝行の村”のルールは親と同居すること、納得がいかない村民も。
経済発展や一人っ子政策などの影響で核家族化が急速に進む中国。特に都市部での核家族化は顕著で、田舎に取り残された高齢者が寂しい生活を余儀なくされていると、
大きな社会問題になっている。そうした中、時代の流れに逆らうかのように、一風変わったルールを設けている村の存在が判明した。
ルールの内容は「新居を建築する場合、両親と一緒に暮らさなければならない」というもの。このルールは実施されてすでに2年経つそうだが、いまだに納得がいかない住民もいるという。
中国紙銭江晩報などによると、このルールを実施しているのは浙江省蘭渓市の女埠街道焦石村。焦石村では2009年6月からスタートした新計画にのっとり、
地域の古い住宅を壊して豪華な一戸建て住宅群を建築する作業が急ピッチで進められている。しかし、住宅群を管轄する村は、
この新しい一戸建て住宅への入居者に対して「親との同居」を強制。同居しない購入者には建築許可を出さない措置を取っているという。
焦石村でこのようなルールが誕生したのは、古くから同地に建つ牌坊(※中華街などでも見られる中国の建築様式の大きな門のこと)が関係しているそうだ。
昔から同地では親孝行をすることが重んじられてきたという。にも関わらず、最近は親元を離れた子どもたちがきれいな新居で暮らしている一方で、
両親は古い家でボロボロな生活を強いられている――“孝子”を前面に掲げる焦石村としては見過ごせない事態だと、「親との同居」ルールを設けて改善を図ったというわけだ。
このルールが適用されたことで、親と同居するようになった夫婦は少なくない。しかし、いまだに納得がいかない住民も多いそうで、
ある人は「親孝行の方法は同居だけではない」と語り、また別の住民は「二世帯住宅は価値観の違いなどからトラブルが起こりやすい。
一緒に暮らしてトラブルが起きてしまったらそれこそ意味がない」と、「同居=親孝行」という焦石村の考え方には疑問を呈している。
中には「自分の子どもが出稼ぎのために家をあけて初めて親の孤独の辛さがわかった」と効果を見直す人々もいるが、
同ルールが実施されて2年が経った今でも話題になるぐらいなのだから、そう簡単に片付けられる問題ではなさそうだ。
http://www.narinari.com/Nd/20110315193.html