2009年9月、歴史的な政権交代で厚労相に就任した著者が、1年間の大臣生活を
振り返った「記録」だ。読むと、壮絶な官僚との闘いが出てくる。この間、大マスコミは
著者に冷たかった。自分で何でもやろうと抱え込み、「大臣のくせに課長みたいだ」と
揶揄(やゆ)した。しかし、内実は随分、違う。
「政権交代1年目なんですから、大臣が手を突っ込んでいくのは当たり前じゃないですか。
まして、厚労省は不祥事に揺れていて、国民の信頼を失っていた。古い役所文化、体質を
変えることに取り組んだのです。体質さえ変われば、次官に任せてもいい。私が厚労省に
来た時に、省の目標、局の目標すらなかった。情報発信の仕方、国民への説明、
アフターケアとさまざまな問題がありました」
この本を読むと、今の菅政権には随分、注文があるのではないか、と思える。著者は
マニフェスト順守論者だ。消費税増税が必要だというが、その前には徹底した無駄排除を
掲げる。しかし、菅政権は政治主導の看板を下ろし、マニフェスト見直しを進めている。
「民主党がマニフェストを全部取り下げたような印象がありますが、違いますよ。生活
保護の母子加算復活や年金記録の紙台帳との照合などは進んでいる。財源の問題が絡む
ものは謝罪した上で修正する時期も来るのでしょうが、国家公務員の人件費2割カットや
議員定数削減など、財源が絡まないものはやっていかなければなりません。無駄の削減も
続けています。党の行政刷新プロジェクトチームでは、英国に倣って『競り下げ入札方式
』の研究にも取り組んでいます。そうしたことがきちんと国民に伝わっていないのは残念
です」
http://news.livedoor.com/article/detail/5372677/