政府の事業仕分けで「廃止」とされたスーパー堤防について、東京都江戸川区は、江戸川
整備分の地元関連事業費計10億2600万円を新年度当初予算案に計上した。多田正見
区長は「廃止」と仕分けされても国の整備計画が前進するのを期待して予算を組んだ。
一方、住民からは「見切り発車では」と心配する声も出ている。 (したまち支局・伊東浩一)
予算案で計上したのは、江戸川のスーパー堤防関連土地区画整理事業のうち北小岩
一丁目東部地区(一・四ヘクタール)の移転者補償費や用地取得費、上篠崎一丁目
北部地区(三・六ヘクタール)の土地交換計画の策定費など。両地区の二百世帯が
立ち退き対象となる。
スーパー堤防は、堤防から市街地に向けて二百〜三百メートルの幅広い範囲に盛り
土をする。決壊しても水が緩やかに流れ、被害は最小限に抑えられるとされるが、川沿
いの住民をいったん立ち退かせて街を造り直すため費用は膨大になる。
全国のスーパー堤防整備の総事業費は十二兆円と見込まれ、完成は四百年後とされ、
昨年十月の事業仕分けでは「現実的ではない」などとして、「廃止」と結論づけられた。
国の新年度当初予算案では、契約済みの工事以外は予算計上されない。
多田区長は「都の都市計画審議会で近く、北小岩地区の事業化が決まる見込み。
国にはやってもらわないと困る。どこまでも押していく」と話している。
ただし、江戸川区内では反対運動も起きている。「スーパー堤防問題を考える協議会」
座長の堀達雄さんは「国の予算が付くめどもないのに、区が関連予算を計上するのはお
かしい」と疑問視している。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011020490135723.html