乳製品大手の森永乳業(東京)は26日、徳島(石井町高原)と郡山(福島県郡山市)の
両工場を9月末で閉鎖すると正式に発表した。同社は閉鎖理由を、効率的な生産に向けて
進めている拠点の集約化、合理化の一環と説明している。
昨年11月に徳島工場の閉鎖方針が明らかになって以降、県や石井町、取引のある
県酪農業協同組合は同社に対し工場存続の要望を繰り返してきた。今月20日には
石井町の住民1万3千人余りの署名簿も提出したが、同社は「工場閉鎖は撤回しない」
と最終判断した。
森永乳業によると、徳島工場は1938年12月に練乳の製造工場として開設。現在は
牛乳や乳飲料を年約2万4千トン製造し、主に四国内に出荷している。
徳島工場での製造分は閉鎖後、近畿工場(兵庫県西宮市)に移管する。正社員33人
は意向を聞いた上で他の事業所に配置転換し、雇用を継続する。非正規の約20人は
閉鎖までに契約を解除し、再就職を支援する。
徳島工場に生乳を納入していた県内酪農家約80戸との取引については「混乱が起
きないように」(同社)協議を進める方針。同社が所有する工場敷地(約2万1400平方
メートル)の跡地利用は未定だという。
徳島工場では55年、戦後最大の食中毒事件とされる「森永ヒ素ミルク中毒事件」の
原因製品を生産した。同社は中毒事件と今回の工場閉鎖は無関係だとした上で「被
害者への救済は今後も継続する」との考えをあらためて強調している。
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2011/01/2011_129609099955.html