奈良の食探訪:結崎ネブカうどん 「幻のネギ」使う逸品 /奈良
「結崎(ゆうざき)ネブカ」は、
室町時代に天から翁(おきな)の能面とともに落ちてきたという伝説もある「幻のネギ」。
豊かな甘みが特長で、川西町内では戦前まで多くの農家が栽培していた。
しかし、葉が柔らかいのですぐ折れ曲がり、商品価値が下がるため、戦後は栽培が途絶えていた。
復活は02年。町商工会が地域活性化の核にしようと「結崎ネブカ復活プロジェクト」を始めた。
現在は「結崎ネブカ生産部会」を設ける県農業協同組合川西支店(乾栄一支店長)を中心に、
生産者15人が計約1ヘクタールの畑で栽培している。県の「大和の伝統野菜」にも認定された。
出荷は9月から翌年2月まで。町内の小中学校の給食で使うネギは原則として結崎ネブカ。
「ネッピー」と名づけたマスコットキャラクターも活躍中だ。
部会長の宇野正増さん(81)は「のどごしや味わいは言葉にするのが難しいほど素晴らしい。
ただ、栽培で機械化ができず、出荷作業にも手間がかかり、
今でも採算を度外視しなければやっていけない状態です。
先日も、東京の料亭の経営者らが視察に来られ、
『味わいが違う』とおほめの言葉をいただいたのですが」と話す。
近鉄結崎駅にほど近い「手づくりうどん 美ノ吉」(0745・43・1156)。
看板メニューは、ネブカと牛肉でうどんを覆い尽くす「結崎ネブカうどん」(600円)。
ネブカの出荷時期にだけ、店のメニューに登場する逸品だ。
店主の木田勝裕さん(51)は「賄(まかな)いで食べてみると、
甘さとやわらかさに驚かされました。びっくりするような量でもぺろっと食べられます」と話している。
http://mainichi.jp/area/nara/news/20110116ddlk29100316000c.html