今や戦隊、仮面ライダーと同様、日曜朝の子供向け番組の顔となっている女児向けアニメが「プリキュア」です。
詳しくない方には、セーラームーンや他の魔法少女アニメと区別が付かないかもしれませんが、プリキュアが他作品と明確に違うのは、
敵相手に殴る蹴るなどの肉弾戦を行うところにあります。
自主規制やPTAからの苦情などもあり、2004年の第一作のころに比べると派手なバトル描写は避けられているようですが、
それでも敵にトドメを刺すまでの前段階に格闘をおこなうところは変わっていません。
しかし、あくまでもメインターゲットは幼稚園〜小学校低学年の女の子。
女子プロレス並みの派手な戦いを繰り広げるとしても、これだけは禁じ手、という一線が存在します。
それが、「顔や頭、腹を直接殴る描写」です。
製作体制はシリーズを重ねるごとに変化していますが、基本的にはこの一線だけは守られており、たとえ敵から顔をグーで狙われるシーンがあっても、
一旦顔の前で腕をクロスさせ、ディフェンスさせてから衝撃を受け止める、といった演出上の工夫がなされています。
変身解除すれば、変身中に受けたダメージがリセットされるとしても、女の子が殴られて顔に傷を負うという絵はアウトなのでしょう。
腹パンチについては顔面パンチよりは問題ない気もしますが、プリキュアにはほぼ毎シリーズ、ヘソ出しスタイルの戦士がメンバーに加わっているため、
剥きだしになった女の子のお腹に拳がめり込む描写はまずいと判断されたのかもしれません。
ただし、これらの禁じ手は「敵→プリキュア」の場合に限った話で、プリキュアが敵を狙う場合には適用されない模様です。
最新作「ハートキャッチプリキュア!」の新年一発目の放送では、敵幹部の顔面に正拳突きを食らわせていました。
なんとなく理不尽なものを感じなくもありませんが、卑劣な悪事を働く相手なら、
例え小さな女の子相手でも全力で顔面を殴り飛ばすことで有名なライトノベル「とある魔術の禁書目録」のヒーロー・上条当麻さんが
比較的好意的に扱われていることを考えると、「正義の味方が怒りの拳を悪の顔面に叩き込む描写」は、一種のカタルシスなのでしょう。
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