自動車保険各社値上げ 事故の多い高齢ドライバーの負担増加
損害保険大手各社が春以降、任意自動車保険の値上げに踏み切る。
背景には、高齢ドライバーの事故が増え、保険金支払いコストが増大している点がある。
任意保険に加え、強制加入の自賠責保険も、週明け以降の議論で値上げが決まる公算が大きい。
契約者の負担が増す以上、それに見合う顧客サービスや経費節減などの経営努力をどう深めるか、各社の姿勢が問われる。 (石川智規)
四月に自動車保険料を改定する損保ジャパンは、全体で約1・5%値上げする方針。
さらに、契約者やドライバーの年齢ごとに、保険料を細分化する料金体系を導入するのが最大の特徴だ。
一般的な契約の場合、七十歳以上は七千百五十円の値上げとなる。
東京海上日動火災保険や三井住友海上火災保険も夏から秋にかけ、同様の値上げを検討している。
現行の保険料は、運転経験が浅く事故率が高い若者ほど高く、運転頻度の低い高齢者は安く設定されている。
こうした考えから、二十代の保険料率は細かく設定され、三十歳以上は同じ保険料率だ。
この保険料体系が各社の収益を圧迫し、春以降の値上げの伏線となった。
近年、若者の自動車離れが進み、高い保険料を稼げる若者層からの収入が減っている。加えて、
高齢ドライバーの事故率上昇で保険金支払いが増加し、損保各社は収入減と支出増という“ダブルパンチ”にあえいでいた。
収支面での構造問題を解消しようと、保険料の参考値を算出する「損害保険料率算出機構」は二〇〇九年七月、
三十歳以上一律だった保険料率を見直し、十歳刻みに細分化した上、事故率に合わせて、高齢者ほど高い保険料率を新たな参考値とした。
機構の数値はあくまで参考値で、各社も値上げ幅は最小限に抑えたい意向だ。ただ、どんな率でも値上げに踏み切る以上、
契約者の負担は確実に増える。
その見返りとして、事故の際のよりきめ細かいサポートなどの新サービスを通じ、顧客満足度を向上させる努力が大手各社に求められる。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2011010802000038.html