レーシック手術:「元には戻らない」患者は怒り収まらず
高校教師だった横浜市中区の女性(36)が銀座眼科を訪れたのは08年12月。
フロアは来院者であふれ「流れ作業のように診察、手術が進んでいた」。手術は約10分
で終わった。
異常を感じたのは約1週間後。白いコピー用紙がまぶしく見え、目の奥がうずいた。「
よくあることです」。銀座眼科を再訪すると、溝口容疑者に言われた。角膜炎だった。
何度か通院したが症状は一進一退。年明けに大学病院に駆け込んだ。
菌の特定に時間がかかり入院は約2カ月に及んだ。09年3月に職場復帰したが、
感染した左目の不正乱視が悪化。細かい字が見づらくなり、仕事に支障が出始めた。
北海道への修学旅行を引率した際、空港搭乗口の看板が見えず「生徒を連れたまま迷って
しまった」。今年3月末で退職し、塾講師に転職した。
今もろうそくの火が花火のように映るという。「医師免許を剥奪してほしい」と怒り
は収まらない。
千葉市緑区の主婦、野村たきえさん(46)も、08年末に手術を受けた。手術直後
は「青空が澄んで見えた」。だが約1週間後に目の痛みを感じた。目が開けられず、
小学生の娘に手を引かれるようにして銀座眼科に急いだ。
「炎症を起こしています」。症状がひどかった左目の洗浄をすることになったが、
溝口容疑者は麻酔が効いていない右目に、まぶたを開かせる器具を取り付けた。目の周辺
の皮膚が裂けると思うほどの痛みに、野村さんは「痛い」と叫んだが、溝口容疑者は「ご
容赦ください」とだけ言い、洗浄に取りかかった。「怖くて『違う目です』とは言え
なかった」と振り返る。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101207k0000e040049000c.html