家族承諾のみ18、19例目の脳死臓器提供へ
2010年11月26日
日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)は26日、福山市民病院(広島県)に入院中の60歳代の
男性と、札幌医科大学付属病院(北海道)に入院中の60歳代の女性が、改正臓器移植法に基づ
いて脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったと発表した。
7月の改正法施行後、本人の意思が書面で残されておらず、家族の承諾だけで提供されるのは
18、19例目。脳死の人からの臓器提供は1997年の臓器移植法施行後105、106例目となる。
移植ネットによると、福山市民病院から移植ネットに24日に連絡が入り、家族は25日午前9時
10分に脳死判定と臓器摘出の承諾書を移植ネットに出した。同病院で男性の脳死判定が行われ、
25日午後8時25分に2回目の脳死判定が終わって男性の死亡が確定した。男性は低酸素脳症で
治療を受けていた。
札幌医科大学付属病院からは24日に移植ネットに連絡が入った。家族は25日正午に脳死判定と
臓器摘出の承諾書を移植ネットに出した。同病院で女性の脳死判定が行われ、26日午前1時35分
に2回目の脳死判定が終わって死亡が確定した。女性は脳血管障害で治療を受けていた。
家族は移植ネットを通じ、それぞれ「社会への貢献をさせてあげたい」、「人の役に立つよいことだと
思い、申し出ました」などとのコメントを出した。
福山市民病院の男性の家族は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、小腸、眼球の提供を承諾
した。心臓は大阪大病院で40歳代女性に、肺は岡山大病院で30歳代女性に、腎臓は県立広島病院
で60歳代男性と、岡山医療センターで50歳代男性にそれぞれ提供される。肝臓などは医学的理由で
提供を見送った。
札幌医科大学付属病院の女性の家族は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸の提供を承諾した。肺は
長崎大病院で40歳代女性と、東北大病院で30歳代女性に、肝臓は国立成育医療研究センターで10
歳代男性に、腎臓は市立札幌病院で30歳代女性に、もう一つの腎臓と膵臓は東北大病院で40歳代
女性にそれぞれ提供される。心臓などは医学的理由で提供を見送った。
http://www.asahi.com/health/news/TKY201011260261.html