口蹄疫への対応、国の甘さも批判 検証委が最終報告
今春から夏にかけて宮崎県で流行した家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)への国や県の対応
を検証してきた農林水産省の対策検証委員会は24日、最終報告書をまとめた。中間報告で県の
初動の遅れを指摘したが、最終報告では国の対応の甘さも批判。国が感染拡大防止のため家畜
へのワクチン接種に踏み切った時期について、「結果的に決定のタイミングが遅かった」とした。
国は報告書を踏まえ、家畜伝染病予防法の改正案を来年1月の通常国会に提出することを検
討する。
今回の流行で国は5月19日、感染拡大を遅らせるため健康な家畜にワクチンを接種して殺処
分する方針を決定。しかし、報告書は、感染家畜が増えていた5月はじめには必要だったと指摘
した。
また、畜産業の規模拡大が進み、「10年前の口蹄疫の発生を踏まえて作られた防疫体制が十
分に機能しなかった」「国と宮崎県・市町村などとの役割分担が明確でなく、連携も不足していた」
などと問題点を列挙。改善策として、「防疫方針の策定は国が責任を持ち、具体的措置は都道府
県が中心となって市町村、生産者団体などと迅速に行う」ことを挙げた。
そのうえで、宮崎県の通報が遅れたケースにも言及し、「口蹄疫であってほしくないという心情が
強く働いた」と指摘。通報のルールに従わなかった農家や都道府県には手当金などの削減を含め
たペナルティーを科すよう求めた。また、県有の種牛について県が殺処分見送りなどの特例を実
施し、国も認めたことについては「特例的扱いは一切認めるべきではない。種牛の分散や冷凍精
液の保存でリスク分散を行うべきだ」とした。
感染ルートを調べていた同省の疫学調査チームも同日、中間報告を公表。最初に感染が起き
たとした農場について「見学者の訪問などによってウイルスが侵入した可能性は否定できない」
とし、人や車両の出入り記録の農家への義務づけを提言。その一方で、侵入経路の特定はでき
なかった、とした。
http://www.asahi.com/national/update/1124/TKY201011240392.html