金融庁は20日、東京証券取引所に上場する企業の大規模な公募増資に際し、不自然に値下がりする銘柄が相次いだことを受け、
値下がりを助長する空売りの規制を強化する検討に入った。
米国で導入されている規制などを参考に具体策を詰める。
東証では7月以降、東京電力や日本板硝子、国際石油開発帝石など大型増資が相次いだ。
株式の大量発行は1株当たりの利益低下につながり、株価は下落しやすい。
ただ、いずれの銘柄も増資発表前から値下がりしたため、インサイダー取引の疑いが浮上。
その調査の過程で、増資前後に「空売り」が相次いだことも分かった。
空売りは、株を借りて市場で売り、株価が下がったところで買い戻す取引。
値が下がれば下がるほどもうかるため、東電などの場合では、
増資発表から新株発行の価格決定までの2週間で内外のヘッジファンドが大量の空売りを仕掛けたとされる。
発行価格を左右する株価が下がれば、増資した企業が調達できる資金は目減りし、資金計画が狂う。
このため、金融庁は増資に絡んだ空売り対策の強化に向け検討に着手。
具体的には、増資発表から価格決定までの周知期間を短縮し、空売りが出せる期間を短くする案が出ている。
また、米国の規制を参考に、価格決定の5営業日前から当日までに空売りした投資家が、増資の株を買うのを禁止する案も検討されている。
空売りした投資家が安く買い戻すのを防ぐ狙いだ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010112000184