それはDV、気づいて 生理用品に被害相談先
2010年11月17日19時49分
http://www.asahicom.jp/national/update/1115/images/OSK201011150160.jpg 大王製紙(本社・東京)が、生理用品の包装紙にドメスティックバイオレンス(DV)の被害
相談先を掲載して販売する取り組みを始めた。女性だけが使う商品だからこそ男性に気づ
かれずに相談相手の存在をそっと伝えられる、という1人の元被害女性の思いを企業が
受け止めた。
対象は同社が発売する「ウルトラガード」シリーズのうち4種類の商品。内閣府が運営する
相談ナビの電話番号を10月末から掲載し、「怖いと感じたら、それがDVです」と呼びかけて
いる。男性の目には触れないように、外側のパッケージではなく、中の個別包装に載せた。
きっかけは2年前、兵庫県の女性(48)から届いた手紙だった。女性は元夫の暴力的な
言動に耐えられなくなり、9年前に家を出た。「パパのそばにいてあげたい」と残った長男が
2003年3月、元夫に刺殺された。女性は殴られるなど直接的な暴力を受けなかったため、
自分がDV被害を受けていると思わず、悩みを相談できなかった。
自分が被害者だと悟ったのは、事件後、DV防止のシンポジウムに参加した時だ。「相手の
言葉や態度に『怖い』と思ったらDVです」という説明に、自らの経験が重なった。手紙には
「つらい思いをする人を1人でも少なくしたい」とつづられていた。
大王製紙内では「商品のマイナスイメージになるかも」という慎重意見も出た。しかし、「企業
の社会貢献になる。やってみるべきだ」と推す声が大きく、昨年12月に1カ月間、試験販売した。
商品モニターからの反応は上々で、本格的な全国販売につなげたという。
女性は店頭に並んだ商品を見て「涙をこらえるので必死だった」と話す。商品の販売は少なく
とも2カ月間続く。同社の担当者は「消費者の声を聞きながら、今後もDV防止を後押ししたい」と
言う。(染田屋竜太)
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