自殺予防を目的とした県精神保健福祉センター(長野市)の「こころの健康相談統一ダイヤル」への相談件数が、2008年9月の開設から2年間で計314件に上ったことが11日、同センターのまとめで分かった。
小泉典章所長は「予想以上の数」とし、「一般に男性は弱音をなかなか言わないが、ほかの相談窓口と比べ(電話してくる)男性の割合が高く、失業中の人も目立つ」と話している。
相談件数は1、2年目とも各157件。自殺を考えているという本人からが270件(86・0%)を占め、性別は男性149件、女性160件、不明5件だった。
内容はうつ病やうつ状態に関するものが154件とほぼ半数で、自殺関連以外のその他が72件、本人以外からの心の病などの相談が22件−などだった。
同センターは電話の内容から緊急度を3段階に分類しており、最も自殺の危険性が高い「自殺するはっきりとした計画があり、直ちに自殺する危険がある」は7件。
「死にたいと思っていて計画を立てているが、直ちに自殺するつもりはない」は45件、「具体的な計画はない」は193件だった。
うつ病などが疑われた男性の相談内容は「数年前に仕事で失敗して退職し、仕事に就けない。先のことばかり考え、前に進めない状態で死ぬことを考えてしまう」(20、30代とみられる男性)、
「仕事がなく、借金もあって追い詰められている。年齢的にも仕事を見つけるのは難しい」(40、50代とみられる男性)などだった。
センターは相談内容に基づいて医療機関の受診を勧めている。自殺の緊急度が高いと判断し、センターが公的機関に連絡し、保護を依頼したケースも複数あったとしている。
小泉所長は相談者について、「『死にたい』という気持ちと『生きたい』との気持ちの間で揺れながら電話してきていると思う」と話している。県警によると、県内の自殺者は1998年以降、毎年500人を超え、昨年は573人に上った。
統一ダイヤルは内閣府が開設を呼び掛けて08年9月10日に長野を含む10道府県でスタートし、現在は18道府県が開設。長野県精神保健福祉センターの統一ダイヤル(電話0570・064556)は平日午前9時半〜午後4時。
http://www.shinmai.co.jp/news/20101112/KT101111FTI090005000022.htm