インタビューに答える李明博・韓国大統領=13日午後、横浜市、葛谷晋吾撮影
http://www.asahicom.jp/international/update/1113/images/TKY201011130334.jpg アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため日本を訪問している韓国の李明博
(イ・ミョンバク)大統領は13日、横浜市内のホテルで船橋洋一・朝日新聞社主筆と会見した。李
大統領は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加について「APECの国々が自由貿易
の方向に向かっており、どの国も(TPPを)検討している。韓国もその一つだ」と述べた。
李大統領はTPPについて「象徴的な効果はあると思うが、実質的な効果はわからない」と慎重な
姿勢を見せつつも、参加の検討を始めたことを初めて明らかにした。韓国は3年前に合意した米国と
の自由貿易協定(FTA)の早期発効を求めており、11日にソウルであった米韓首脳会談で決着を
図ったが、最終決着は見送られた。
李大統領はまた、今後の北朝鮮政策について「平和が前提で、次が経済協力だ。そうすれば自然に
統一問題になるだろう」と述べ、まず非核化を求める考えに変わりはないと強調。実現すれば史上3
度目となる北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記との南北首脳会談の可能性には「韓(朝鮮)
半島の平和を維持し、北の非核化という大きな目的を達成できるならいつでもできる」として、北朝
鮮に具体的な核放棄の意思を示すよう求めた。
北朝鮮で進む金総書記の三男、正恩(ジョンウン)氏への権力継承の動きに関しては「常識的に考
えて納得できないが、世襲したからといってすぐに北が危険になるわけではない」と語った。
さらに李大統領は、米韓軍事演習を自衛隊が視察したことなどを挙げ、日米の共同演習に韓国がオ
ブザーバーとして加わる可能性について「できると思う。自然に」と述べ、北朝鮮情勢を背景にした
日本との安全保障協力の強化に意欲をみせた。
日韓両政府は、朝鮮王朝の儀典書「朝鮮王室(王朝)儀軌」など韓国に由来する文化財を引き渡す
ことで合意。李大統領は14日、菅直人首相との首脳会談の後、引き渡し協定の署名式にのぞむ。
(箱田哲也)
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