全国でクマの被害が多発する中、野生動物と共存する道を考える
公開講座「今、なぜケモノは里に下りるのか」が10日、山形市の東北芸術工科大であった。
山形県内のクマの被害を調べている同大の田口洋美教授(環境学)は、
かつては集落からクマを遠ざける役割を担っていた里山が都市化による山林の荒廃で失われ、
人間とクマの生活空間が接近したと指摘。
「個体数の増減よりも、山全体がやせ、クマを養う容量がなくなったことが原因ではないか」と指摘した。
田口教授は「被害を前提とする対策よりも出没対策が重要だ」と述べ、
生態調査をしながら捕獲する「予殺駆除」の活用や、マタギに代表される伝統的な狩猟技術の継承が大切だと訴えた。
同大東北文化研究センターの蛯原一平研究員(生態人類学)は、
沖縄県の西表島におけるイノシシの駆除方法を紹介し、
「野生動物には『人間の領域に来るな』とメッセージを発しないといけない」と話した。
市民や学生約170人が参加。先月、両親がクマに襲われ、大けがをした山形県飯豊町の
農業高橋勝さん(37)は「山や自然への関心を深め、野生動物と共存共栄できればいい」と感想を述べた。
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/11/20101112t53001.htm