豪政府、アボリジニの地位向上に向け 憲法改正論議へ
オーストラリア政府は8日、同国の先住民であるアボリジニやトレス海峡の
島しょ民の特別な地位を憲法で認めるための手続きを進める方針を明らかにした。
ギラード首相は声明で、「オーストラリア憲法は我々の政府制度の基盤となる文書だが、
最初のオーストラリア人たちの特別な地位を認めるものになっていない」と述べた。
先住民指導者や憲法学者、議員などからなる委員会を設置し、憲法改正を問う
国民投票の実施に向け、2011年中に国民的議論を進める方針。また先住民と
他の国民との格差を埋めるため、初等教育や保健、雇用、住宅などの分野で改革や
投資を進めるともいう。
オーストラリア議会は2008年、アボリジニなどの先住民が長年にわたり不当な扱いを
受けてきた歴史を認め、公式に謝罪する決議を採択。当時のラッド首相が謝罪した。
同国政府は1970年までの60年間、混血のアボリジニの子供たちを児童保護と称し、
家族から隔離して養育する政策をとっていた。こうした子供たちは「失われた世代」と呼ばれ、
家族や伝統から引き裂かれたうえ、適切な教育を受けられず、虐待されるなど悲惨な生活を強いられた。
こうした政策は、約10年前に政府調査で明らかになるまでほとんど知られてこなかった。
この問題は国民の抗議運動を引き起こし、多くの白人系国民もこれを支持、政府の謝罪を要求した。
ラッド前首相は、謝罪は新たなアボリジニ対策の始まりだと述べ、別れた家族との再会支援のほか、
白人社会との給与格差や17年の平均寿命差をなくすための政策に取り組むとした。
http://www.cnn.co.jp/world/30000831.html