ネット右翼「自分たちはフリーターなのに、在日が自営業者であるのは許せない!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
1 スカーラ(チベット自治区)

若年層右傾化の背景と限界(中)

問題はインテリを殴る程度の希望で良いのかという点である。現体制に不満を抱いているならば、
なぜ、体制の頂点に君臨する人物を殴りたいとは思わないのか。例えば「天皇をひっぱたきたい」
とは考えないのか。インテリを殴ることは代償行為にしかならない。

そして「天皇をひっぱたきたい」ならば戦争ではなく、革命を希望しなければならない。戦争は日常
を破壊するとしても、現体制を守ることが目的である。戦争に組み込まれることは現体制の歯車
になることである。

天皇ではなく丸山眞男を殴りたいとする赤木氏自身には論理の一貫性がある。赤木氏の怒りの
矛先は権力者ではない。「貧困労働層を足蹴にしながら自身の生活を保持しているにもかかわら
ず、さも弱者のように権利や金銭を御上に要求する、多数の安定労働層」に向けられている
(「けっきょく、「自己責任」ですか 続「『丸山眞男』をひっぱたきたい」「応答」を読んで」論座2007年6月号)。

なぜならば「金持ちや権力者が恵まれているのは、血筋や家柄という固有属性を持っているから
であり、彼らが戦争で死んだとしても、その利権は、固有属性を持たない私には絶対に回ってこない」
からである。ここには血筋や家柄は覆すことができないというあきらめがある。日常を根本的に覆す
戦争を望みながらも、格差社会の前提を受け入れてしまっている。

ここにネット右翼の限界がある。体制の根幹に位置する巨悪には目をつぶり、自分たちと近い立場を
攻撃することで満足する。「自分たちはフリーターなのに、在日コリアンが自営業者であるのは許せない」
的な発想である。そこにとどまっている限り、ネット右翼は体制に利用されるだけで、社会を変革する
まじめな運動にはなりえない。

http://www.pjnews.net/news/794/20101014_8