西日本鉄道の天神大牟田線で、1970−80年代に“看板特急”として活躍した2000形が、17日に引退する。
73年のデビューから37年。黄色に赤のラインが印象的な名車両が姿を消す。
西鉄は福岡(天神)−花畑(福岡県久留米市)などの通常ダイヤ(普通、急行)で、
16日まで1日5往復の「さよなら運行」を実施している。
2000形投入で西鉄は輸送力を増強。従来型特急と比べ、モーターの出力は7割アップ。4両から6両編成になり、車長も1・5メートル長い1両19・5メートルに延ばした。
当時のポスターには「ジャンボ特急」の文句が躍る。
快適性も高めた。西鉄車両初となる冷房を導入し、進行方向で背もたれの位置を変える転換クロスシートを採用。台車には空気バネを使い、振動を抑えた。
設計を担当した西鉄OBの倉掛勝男さん(72)=福岡県筑紫野市=は「一番こだわったのは先頭車両の顔」と振り返る。
車体幅いっぱいの窓を付け、運転席を中央に配置。個性的なデザインに仕上げた。
鉄道友の会九州支部の平田利光さん(52)は「緑豊かな筑後平野に、黄色のボディーが映えた。華があった」と惜しむ。倉掛さんは「九州らしい温かみのある色にしたかった」と明かす。
その歴史は山あり谷あり。全国の鉄道友の会会員が選ぶ、最も優れた新造車両に贈られる「ローレル賞」を、74年に九州の車両で初受賞。
翌75年、踏切で立ち往生した車に衝突し、脱線事故を起こしてしまう。しかし83年には福岡−大牟田の所要時間を、西鉄の悲願だった60分に短縮し、通勤客ら利用者に喜ばれた。
89年に新型特急車両の8000形が登場すると、急行に転用。2000年代に入ると、ブレーキをかけたときのエネルギーを電力に転換する省エネ車両の導入が進んだ。
2000形は老朽化もあり、製造された6編成のうち5編成は既に引退。最後の1編成の走行距離は、通算約715万キロ。
地球を178周した計算だ。倉掛さんは、17日のラストラン(貸し切り運行)後に展示される筑紫車両基地で、こうねぎらうつもりだ。
「お疲れさん。長い間よく頑張ったな」
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