【ブリュッセル】中国の温家宝首相は6日、欧州連合(EU)当局者や業界首脳が参加してブリュッセルで開かれた「ビジネスサミット」で演説し、
人民元を切り上げるよう中国に圧力を掛けるべきではないと呼び掛けた。
同首相は「人民元が安定していなければ、中国と世界双方に災厄をもたらすだろう」と警告した。
人民元は6月までドルにペッグ(連動)していた。
中国はその後、狭いレンジ内での変動を認めたが、実際にはほとんど上昇していない。
しかも人民元がその後、対ドルで約2%上昇したのに対し、対ユーロでは10%近く下落したためEUは当惑している。
ドイツのメルケル首相は5日、記者団に対し、「為替相場は 可能な限り現実的であるべきだ」と述べた。
欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は、人民元が変動を認められたのは事実だが、次ぎは「弾力性を高めるべきだ」と述べた。
これに対し温首相は、人民元を「漸進的に」しか上昇させない構えで、6月以降、同首相など中国当局者らが示してきた立場を繰り返すにとどまった。
同首相 は「もしわれわれが人民元を一部の人々の主張通り20%ないし40%上昇させれば、中国の多くの工場が閉鎖され、社会は混乱に陥るだろう」
と警告した。
為替市場をめぐる緊張は、ブリュッセルで今週開催されたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議や、EUと中国、韓国との首脳会議に影をさした。
EUは中国に対し、知的所有権の尊重やEU企業への公共事業契約開放を求めた。
これに対し、中国の主たる要求はEUが中国の「市場経済地位(MES)」を認めることだった。
MESを認めるとEUが安価な中国輸入品に特別関税を課すのが困難になる。
EUは最近、アルミホイール、鉄鋼、靴など幾つかの輸入品に特別関税を課している。
メルケル首相はMES承認に向けて中国を支援すると約束した。
しかし多くのEU当局者は中国はまだ真の市場経済国ではなくMESを認められないと主張している。
http://jp.wsj.com/japanrealtime/2010/10/07/%EF%BD%85%EF%BD%95%E3%81%AF%E4%BA%BA%E6%B0%91%E5%85%83% E4%B8%8A%E6%98%87%E3%81%B8%E5%9C%A7%E5%8A%9B%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%AA%EF%BC%9D%E
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