TBSと住生活グループとの横浜球団身売り交渉の成否を球界は注視している。もし、球団身売りに失敗すれば、
球界再編の動き再燃の恐れがある。
「報道があったことは承知していますし、横浜とも連絡は取っています。ただし具体的なコメントはできません」。
加藤良三コミッショナー(69)はこう語り、現状では事態の推移を見守る姿勢を強調した。
当事者のTBSと住生活グループが横浜球団の売買に関し、交渉中なのだから、日本野球機構(NPB)としては
静観するしかない。11球団関係者も右へならえは当然だ。
もし交渉が不調に終われば、球界再編の動きが再燃する引き金にもなりかねない。TBS関係者の間からは
「どうしても買い手がつかなければ、球団をNPBに保有してもらうしかない」という最終手段の声も聞かれる。
そうなったら球界はパニックに陥るだろう。「財力のある大リーグ機構(MLB)は実際に経営破綻した球団を
保有したことがある。しかし、財政難のNPBには球団保有は現実的にはできない。球団経営が不可能になり、
丸投げしてくる球団が出てくることが最悪の事態だ」。球界OB、関係者の一致した見解だ。
非常事態にNPBが球団を保有できなければ、2004年のシーズン中に起こった球界再編、1リーグ制度への
移行の動きが再燃しかねない。このときはオリックスと近鉄が合併し、「もう一つの合併が進行中。パ・リーグ
は存続できないので、1リーグ制を」という、当時の西武・堤オーナーの爆弾発言から大騒動に発展した球界再編
の動きだった。
最終的にはソフトバンクが経営危機のダイエーを買収。楽天が新規参入して2リーグ制度は維持されている。
あれから6年。12球団による通常運営の維持は、TBSの身売り交渉の結果にかかっている。
(夕刊フジ編集委員・江尻良文)
http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20101002/bbl1010021402004-n1.htm