朝日「中国は大事な存在。日本は折れるべき」

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1 芸能人(兵庫県)

中国政府からすれば当然の対抗措置ということなのだろうが、あまりに激しすぎる。
これによる長期的な悪影響を深く憂慮せざるをえない。

 尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で逮捕、送検された中国人船長の勾留(こうりゅう)延長が19日、裁判所から認められた。
中国側はこれに対し、閣僚級以上の交流停止や航空交渉中断などの措置に出た。

 日本が実効支配する尖閣諸島を、中国は自らの領土と主張している。
そこで起きた事件を日本が国内法で処理するのを黙認すれば、尖閣諸島が日本の領土だと認めることになる。
だから、日本の司法手続きは「不法で無効だ」と強硬姿勢に出ているのだろう。

 とりわけ遺憾なのは、未来の日中関係を担う若者の民間交流まで止めたことだ。
温家宝首相の提案による1千人規模の「日本青年上海万博訪問団」は、出発直前になって受け入れ延期の通知がきた。
こうした対応は次世代の率直な相互理解の妨げになろう。

 中国の過激なネット世論は交流停止を支持している。
しかし、満州事変のきっかけとなった柳条湖事件79周年の18日も、船長の勾留延長が決まった19日も、上海万博会場の日本館や日本産業館には数時間待ちの行列があった。
 日本人の多くと同じように、中国人の多くも日中関係が悪化するのを望んではいまい。

 中国のメディアや識者のなかには、中国人の対日感情が悪化すれば不買運動などが起き、
中国頼みの日本経済は立ちゆかなくなる、といった主張をする向きが少なくない。
ここは両国政府が知恵を出しあい、冷静に事態を収めなければならない。

 小泉政権時代の靖国参拝問題でこじれた日中関係は、「戦略的互恵関係」の確認で落ち着きを取り戻した。
双方の協力がアジアと世界に平和と安定、発展と利益をもたらすという認識だ。
 日中はアジアにとっても世界にとっても「最も重要な二国間関係の一つ」である。
今回の事件に目を奪われるあまり、営々と育んできた果実を失うようなことがあってはならない。
 かつて外交関係樹立に尽力した田中角栄、周恩来両首相は「求同存異」(小異を残して大同につく)の精神を強調した。
 それは今も変わらないはずである。

http://www.asahi.com/paper/editorial20100922.html#Edit2