13日に閉幕した柔道の世界選手権で、国の代表ではなく、国際柔道連盟(IJF)登録で出場した選手がいる。
コソボ出身のマジリンダ・ケルメンディ(19)。女子52キロ級で「IJF」と記されたゼッケンを背負って出場した。
「コソボとしての出場は認められていないけど、出られたことはうれしい。今後、認められたらいい。今大会を
機に、私たちの国のことを知ってもらえたらいいかな」
コソボは2008年2月にセルビアからの独立を宣言。日本や米国などは独立を承認したが、ロシアなど一部の
国は認めていない。正式な柔道連盟もなく、国の代表としては出場できなかった。
軽量級でキレのある立ち技が魅力なところが「YAWARAちゃん」の愛称をもつ五輪金メダリスト、谷亮子と
重なる。本人も谷のファンを自認する。今大会は3回戦で敗れたが、昨年の世界ジュニア選手権、今年5月の
グランプリ・チュニス大会を制した有望株だ。
民族紛争で知られるコソボだが、「それは一部の地域。私が住んでいるところのように、ほとんどが平穏な町」と
言う。家から徒歩2分のところに道場があり、8歳から自然に柔道を始めた。現在は地元の大学で金融学を学ぶ。
初来日。「日本は、みんな友好的で敬意をもって接してくれる。中村美里選手は同じ階級だから試合で技とか
見ている」。「ヤワラちゃん」と呼びかけると、「光栄です」と照れ笑いを浮かべた。
母国は柔道の指導者が不足し、試合に出るのも容易ではないが、「今回の成績は満足していない。来年は
ベスト4にいきたい」。敗退後、悔し涙を流した。(吉田純哉)
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