元県中学校校長会会長の大原茂さん(81)=写真=が、関東5県の寺社・寺院に伝わる和算95問を現代数学で解く「算額に学ぶ」を出版した。
和算は、1872年(明治5年)の学制改革で洋算が採用されるまで日本の中心的な計算方法で、特に江戸中期〜明治初期に流行したとされる。
解けた問題は木板の「算額」として奉納されたが、解き方は師弟関係の間で伝授され、算額には詳しく記されておらず、
大原さんは本の中で、これを現代数学の定理や数式で解き明かしている。
問題は、茨城、栃木、群馬、千葉の寺社・寺院などの算額を中心に、三角定理を使った問題や、楕円(だえん)問題などを紹介。
「易しいものを選ぶよう心がけた」が、理科系の大学入試レベルという。
大原さんは「江戸時代から、庶民が高いレベルの数学に触れていたことを知る手がかりにもなる」と話す。
埼玉大付属小学校教頭や県中学校校長会会長などを歴任。定年退職後も私立高校で教員育成に携わる一方で、
知人の紹介で算額と出あい、その魅力にとりつかれたという大原さん。
1998年にも、県内で奉納された算額の95問を紹介した「算額を解く」を出版しており、
「東北地方の寺社・寺院にも算額が数多く残されており、今後も紹介していきたい」と語っている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/saitama/news/20100910-OYT8T01231.htm