概算要求 過去最大 96兆円台後半
財務省は三十一日、二〇一一年度予算の概算要求を締め切った。年金や医療などの社会保障関係費や
民主党のマニフェスト(政権公約)実現に必要な経費が積み上がり、一般会計の要求総額は一〇年度の
九十五兆三百八十億円を上回り、過去最大の九十六兆円台後半に膨れ上がった。成長戦略に活用する
「特別枠」の要求は、一兆円超の枠に対して約三兆円に上った。
財務省は、国債の元利払いなどの国債費を除く歳出総額を、一〇年度並みの七十一兆円に抑える目標を
達成するため査定作業に入るが、景気悪化で与党などからの歳出圧力は強い。民主党代表にマニフェスト
完全実施を掲げる小沢一郎前幹事長が選出された場合は、さらに歳出が増す可能性もある。
マニフェスト関連では、国土交通省が高速道路無料化の社会実験に一〇年度当初予算比50・0%増の
千五百億円を要求。農林水産省は農業や漁業の所得補償に一二年度計上分も含め九千七百十七億円を
盛り込んだ。文部科学省は高校授業料の実質無償化に前年度と同じ三千九百三十三億円を要求し、厚生
労働省は子ども手当の上積み分を、金額を示さない事項要求とした。
特別枠には、子宮頸(けい)がん予防ワクチンへの助成(百五十億円)や低所得世帯への地デジチューナー
支援(六十二億円)などの生活関連から、戦略港湾の機能強化(四百億円)や農林水産基盤整備(百三十七
億円)といった公共事業まで幅広い項目が並んだ。
省庁別で要求額が最大だったのは厚労省の二十八兆七千九百五十四億円。高齢化などで社会保障関係
費は約一兆二千億円増加した。国債費は16・9%増の二十四兆一千三百二十一億円、地方交付税は特別
会計に繰り入れる「入り口ベース」で0・4%増の十七兆五千四百九十七億円を計上した。
政府は一一年度予算について、各省庁に社会保障などを除く経費の原則10%削減を要求。削減分の一部
を全省庁で競い合う特別枠に回す。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2010090102000032.html 【依頼527】