「広東語守れ!」 広州と香港で異例の同時デモ 北京からの“文化侵略”でタッグ
2010.8.2 22:34
【上海=河崎真澄】中国南部の広東省を中心に使われている「広東語」の擁護を求める住民デモが1日、
同省広州市と香港でほぼ同時に行われ、北京語を基準とした「普通話」(標準語)に対する反発が広がっている。
広州市では先月25日に続き1日も数百人が参加してデモが行われた。
2日の香港紙、文匯報(電子版)などによると、広州市では警察隊が1日、
抗議集会を解散させ、その後の住民デモでは一部の参加者の身柄を拘束した。
また同日、日常的に広東語を話す香港でも民主派活動家ら約150人が参加し、広州市の住民運動を支援するデモが繰り広げられた。
1989年6月の天安門事件以後、中国本土と香港の住民デモが連携するのは極めて異例。
一連の抗議は広州市の諮問機関、人民政治協商会議(政協)が7月5日、
地元テレビの広東語チャンネルを標準語に改めるべきだと同市に提案したのがきっかけ。
標準語と広東語は、欧州でいえば英語とスペイン語ほど文法も発音も差があり、広東語はむしろ漢民族古来の言葉に近いとされる。
北京からの政治圧力に、かねて反発を抱いていた広東の“独立心”を炎上させる結果となった。
広州市は先月28日、広東語チャンネルを維持する考えを表明し、事態収拾に乗り出したが、住民の抗議活動は収まらず、
1日にはデモ隊が市内の路上で広東語の歌を歌ったり、「広東語万歳!」とのスローガンを連呼したりして反発した。
広州市の住民約1400万人のうち、すでに半数の約700万人までが広東語を話せない他省出身者で占められているうえ、
失業率も上がるなど、広東語で日常生活を営む地元住民に排他的気分が広がっていた。
また、広東省出身者が大半の香港では、97年7月の中国への返還以後、急速に標準語の普及が進み、
政治経済のみならず文化の“中国大陸化”への反発もくすぶっていたことから、広州市の住民デモを支援する動きが拡大したとみられる。
広東語の使用人口は広東省や香港、マカオのほか北米華僑などを合わせ、世界に約6700万人いる。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100802/chn1008022236005-n1.htm