前回の続きの前に、大阪で2人の子どもが置き去りにされ、亡くなった事件について少し触れたい。
本当に本当に、痛ましいとか残酷なんて言葉を通り越した事件で、考えるだけで泣きたくなってくる。
母親のしたことは決して許されない行為だが、彼女自身も風俗で働きながら一人で子育てをしな
ければならない中で、どんなに追いつめられていたかを思うとやりきれない気持ちが込み上げてくる。
もちろん、仕事をいくつも掛け持ちしたり、風俗やキャバクラで働いたりしながら立派に子育てをしている
シングルマザーもいるだろう。しかし、人間は時にどうしようもなく弱い。もういろんなことが手のつけようも
ないほどどうにもならなくなった時、彼女はどこに助けを求めればよかったのだろうか。というか、
助けを求めるという発想自体があっただろうか。全部一人で背負わなければいけない、と思い込んで
はいなかっただろうか。そして助けを求めたところで、精神論系の説教や励ましではなく、具体的な
打開策を一緒になって親身になって考えてくれる人がいただろうか。或いは役所などはどんな対応
をしただろうか。
日本のシングルマザーの就労率は80%以上。先進国でもっともシングルマザーが働いているのは
日本である。しかし、それは「シングルマザーが社会参加できている」というよりは、シングルマザーへの
支援が手薄いため、子育てをしながらダブルワーク、トリプルワークをし(子どもがいるとなかなか
正社員として雇ってもらえないので、バイトなどの掛け持ちをする)、朝も夜も働いて自分と子どもの
生活費を稼いだ上に子どもの面倒を見る、という体力的にも精神的にもギリギリの状態でなんとか
保たれている場合が多い。その上で、過去の日本にあったような地域の繋がりなどはない。こうして、
何か狭間に落ちるようにして、時にこのような悲惨すぎる事件が起きてしまう。シングルマザーが
せめてもう少し安心して子育てができる社会であり、そんな制度が充実していれば、と改めて
切実に思った。
全文
http://www.magazine9.jp/karin/100804/