女児殺人ヤギ被告、1審の無期懲役支持し控訴棄却
広島市で2005年11月、下校途中の小学1年の木下あいりちゃん(当時7歳)が
殺害された事件で、殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄など四つの罪に問われ
たペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(38)の差し戻し控訴審の判決
が28日午後、広島高裁であった。
竹田隆裁判長は、無期懲役(求刑・死刑)とした1審・広島地裁判決を支持し、検
察、被告側双方の控訴を棄却した。
被害者1人の殺人事件で、死刑が適用されるかどうかが、争点だった。
検察側は、1審で間に合わず、証拠にできなかったペルーでの女児2人に対する
性犯罪の捜査資料を最初の控訴審で提出。差し戻し控訴審でも「女児への異常
な関心を裏付け、犯罪性向を推認させる」と強調。「矯正は困難。被害者が1人で
も極めて悪質」として、1審に続き死刑を求めた。
これに対し、弁護側は「事件当時、心神喪失だった」などとして殺人、強制わいせつ
致死罪については無罪を主張。ペルーの捜査資料についても「被告が出国し、確
定判決が出ていないため、証拠から排除すべきだ」と反論していた。
ヤギ被告の裁判を巡っては、06年7月の広島地裁判決は殺意やわいせつ目的を
認めたが、「被害者が1人で、計画性や前科もない」と無期懲役を選択、検察、被
告側双方が控訴した。広島高裁は「審理が不十分で訴訟手続きは違法」として1
審判決を破棄して差し戻す判決を言い渡した。しかし、被告側の上告を受けた最高
裁は昨年10月、1審の訴訟手続きは適法と判断、高裁に差し戻した。
(2010年7月28日13時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100728-OYT1T00589.htm