顔認証たばこ自販機、中学生「顔しかめたら買える」
福岡県久留米市で、成人しかたばこを買えないはずの顔認証自動販売機で、未成年者が
たばこを購入していたことが朝日新聞の取材でわかった。たばこ自販機を管轄する財務省に
よると、認証ソフトの不具合が原因という。同様に、未成年が購入できる状態の自販機は全国
に1千台以上あるとみられる。
久留米市中心部。食料品店の前に設置された顔認証方式のたばこ自販機で、自転車に
乗った中学生らしき少年が立ち止まり、慣れた手つきで金を入れた。朝日新聞記者が注意
すると、自販機のカメラを見つめていた少年は中学生だと認めたが、「親に頼まれただけ。
この自販機は顔をしかめたら買える。だからここに来た」と説明した。
「こんなことになるなら自動販売機を買い替えたい」。設置店の店主は嘆く。近所から「未
成年が買っている」と苦情が相次いでいるという。(中略)
「絶対に未成年は買えない」という営業マンの言葉を信じて2008年夏、自販機を約120
万円でリース契約した。だが、直後から未成年者が購入していたという。
顔認証自販機は自販機メーカー大手が開発。全国に5239台が設置されているが、認証
ソフトの不具合で未成年でも表情をつくることでカメラが誤認し、購入できるケースが報告さ
れた。財務省はソフトの更新を要請し、6月末時点でうち78%にあたる4081台でソフトの
更新が終わった。メーカーは「未成年でも買えるのは本意ではない。設置店にはソフト更新
をお願いするしかない」としている。
久留米市の自販機は、店主によると、メーカーの担当者が昨年、設定を調整した。すると、
53歳の店主さえも購入できなくなった。ソフトの更新はしないで設定を元に戻し、メーカーに
自販機の引き取りを求めているという。
現在の設定では未成年でも購入できるため、店主らは、少年がたばこを買うのを見つけては
注意をしている。しかし、喫煙していた中学生を注意したPTAの仲間が暴力団組員とみられる
男にすごまれたことがあったといい、「中学生は携帯電話で組員を呼び出し、組員の車で立ち
去ったと聞いた。おいそれと注意もできない」。
http://www.asahi.com/national/update/0726/SEB201007260067.html