ヤマカンこと山本寛「声がデカイだけの“作画オタク”が原因で現場は疲弊している」

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1 VSS(アラバマ州)

――『オトナアニメ Vol.17』で「作画のクオリティが求められすぎる“クオリティバブル”が起こっていて、アニメ業界が食っていけなくなっている」と山本さんは書かれていました。

山本 
これにはいろんなマジックがあって、実は絵だけを重視して見ているアニメオタクって少ないんです。
ごく一部の“作画オタク”と言われている人の発言権がネットによって大きくなってしまっていることが影響しています。
これは実地で体験しているのですが、そのごく一部の大きな声を現場が真に受けてしまって、あわてふためいた結果がクオリティバブルなのです。
「おいおい、求められているものが違っているだろう」と思うのですが(笑)。

実はアニメオタクの大部分はそんなに作画に詳しくないんですよ。これは統計上も言われていることなのですが、作画オタクが狂喜乱舞した作品は売れないんです。
その最たる例が究極の作画アニメと言われている『電脳コイル』(2007年)で、最近だと『鉄腕バーディー DECODE』(2008年、2009年)でしょうか。
作画オタクは狂喜乱舞するのですが、まったく売り上げに結びついていないのです。

僕はかつて「ネットの力に屈した」とゼロ年代(2000年から2009年までの10年間)を評したことがあるのですが、まさにこれですよ。
ネットに踊らされて、「もっとすごいものを作らないといけない」と思ってあわてふためいた結果、現場だけ疲弊してもうからないという。

もちろん絵のクオリティは大事なのですが、あおられたから必要だというのではなくて、制作側が必要とするレベルのクオリティについて、もう1回見直そうよということですね。
『BLACK★ROCK SHOOTER』も見事にネットの声にあおられて作っているので、結果的には“ただの作画アニメ”と言われるかもしれません。
だから、人ごとではないんです。ウチもそのあおりを食らっていて、「これでは『BLACK★ROCK SHOOTER』のファンには通用しない!」とかアニメーターたちが主張していました。
「そうかなあ?」と思うのですが、「いや、これだけのクオリティはないと」と身内からも言われるので、「これはまずいなあ」と感じています。

記事全文
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1007/26/news010_3.html