しあわせのトンボ:大丈夫、なんとかなる=近藤勝重
不安はうつうつのもとだ。その不安は、あらがうほど大きくなる。がん不安など最たるものだろう。
十数年前のこと、レントゲン検査でがんの恐れのある胃の病変が見つかり、内視鏡の精密検査を受けた。
しかしがん細胞は発見できず、「半年後に再検査を」となった。
半年後の再検査も同様の結果で、医師に「また半年後に」と言われた。
がん不安というのは胸の奥底に黒いカタマリを抱え込んだような状態である。
それが半年続くのかと思うと気がめいる。夜と朝の布団の中で、うつうつ状態は日々深まった。
それでだろう。医師からがんが見つかったと告げられた時は、
「そうですか、見つかりましたか」とむしろ明るい口調で応じた覚えがある。
しかし本当の不安は、がん告知のあったその日からであった。
手術の心配、転移や再発の恐れなど、案じればキリのないのががんという病だ。
以下、どう対処したか、主だった点を記すことにする。
何よりも強調しておきたいのは、不安は先々のこと、生きているのは今だということだ。
この違いを利用して、極力今に集中すれば、不安も忘れられる。
(略)
http://mainichi.jp/select/opinion/kondo/news/20100723dde012070009000c.html