米誌『スポーツビジネス・デーリー』の大リーグ市場価値調査で、マリナーズ・イチローが16位にランクされている。
広告代理店、メディア関係者らを対象に市場価値が高いと思われる選手を1位から5位まで5人をリストアップする方式で行われたが、
イチローの16位をファンはどう評価するのか。
1位がヤンキースの主将、デレク・ジーター。1位票を80%も集めて圧倒的な支持を得ている。
2位はカージナルスのアルバート・プホルス、3位にはイチローも一目置く、ツインズのジョー・マウアー捕手。
4位は昨年のドラフト全体の1位で注目され、期待通りのデビューを飾っているナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手となっている。
イチローは2位票が1票のみで16位だ。
この結果をどう見るべきなのか。日本人メジャーリーガー全滅状態の今季、孤軍奮闘しているのに、評価が低すぎると見るべきか。
それとも適正なのか。イチローのメジャーでの成績を改めて見直して見ると─。
メジャーデビューした01年、打率3割5分で首位打者。56盗塁で盗塁王。新人の首位打者は64年のトニー・オリバ(ツインズ)以来2人目。
同じ年に首位打者と盗塁王は49年のジャッキー・ロビンソン以来。ゴールドグラブ賞、新人王、ア・リーグMVPにも輝いている。
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以後も数々の記録を作っている。04年、シーズン262安打。64年ぶりにメジャー年間最多安打記録を更新して2度目の首位打者獲得。
07年にオールスターで史上初のランニングホーマーを記録、オールスターMVPを手にしている。
昨年はメジャー通算2000本安打と、メジャー新記録の9年連続200本安打を達成した。今季も10年連続でオールスターに選出されている。
こうした数々の偉業を見てみると、日本人のファン心理からすると、「なぜ16位なのか?」という素朴な疑問が浮かんでくる。
が、メジャーに精通している球界関係者によると、イチローには二つの大きなマイナス点があるという。
一つ目が「イチローは内野安打で打率を稼いでいるバッターだから、インパクトが弱い。
メジャーリーグのファンはやはりホームランを打てる打者でないと評価しない。だから、日本で大騒ぎしているほど、イチロー人気はない」。
もう一つは、イチローの孤高的なスタンスが嫌われているという。
「監督でもないのに、チームに対して批判的なことを口にするのでナインから『何様のつもりだ』と反発されている。
それで過去に何度かトレード情報が流れてもいる」と、前出の球界関係者が語る。
日本人メジャーリーガーを取材する日本人記者はさらにこう付け加える。
「ハッキリ言ってメジャーリーグには日本人に対する人種差別がある。イチローの活躍を素直に認めたくない感情があるのだろう」と。
聞いてみると、なるほどこれでは「市場価値16位」でも仕方ないかと思わせられる裏事情があるものだ。
それでも、メジャー関係者によれば、「イチローの大リーグ殿堂入りは間違いなし」というから、それで良しとするか。