米軍の徳之島演習も事実上の断念

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米軍訓練徳之島移転を断念、調査費計上せず

 米軍普天間飛行場移設問題で、沖縄の負担軽減策として日本政府が検討してきた米海兵隊の
訓練を鹿児島県・徳之島に移転する案について、政府は事実上断念する方針を固めた。
 複数の政府筋が19日、明らかにした。

 移転に対する地元の反対が強いことに加え、使用される徳之島空港の滑走路整備費などが総
額約1000億円に達する見込みとなったためだ。訓練移転が実現しなければ、政府に対する沖
縄の不信感が一段と深まるのは必至で、政府は普天間移設推進に向け、新たな難題に直面する
ことになった。

 鳩山前政権下で5月末にまとまった日米合意では、普天間代替施設の建設地を「沖縄県名護市
辺野古」とすることを明記。そのうえで、米軍の訓練活動については、沖縄の負担軽減策として、
「沖縄県外への移転を拡充する」とし、徳之島の地名を明記した。その際、「適切な施設が整備さ
れること」を条件とした。

 徳之島空港は民間空港で、軍用機の運用のためには、滑走路の強度を上げたり、着陸帯の横
幅を拡幅したりする必要がある。また、米側は訓練移転にあたり、給油施設や管制施設の新設も
求めており、政府の試算では全体の整備費が「1000億円近く」(政府筋)にのぼることが判明した。
 訓練は年に数回しか行われない見通しで、政府内では「国家財政が厳しい中、予算が巨額すぎ
る」(防衛省筋)との意見が強まった。
 このため政府は、2011年度予算案には徳之島への訓練移転のための調査費を計上せず、
事実上、白紙に戻す方針を固めた。

 徳之島は、5月の日米合意で日本政府側が唯一、訓練移転先として具体的地名の明記を米側
に主張したものだ。その断念は、民主党政権に対する沖縄の信頼感のさらなる低下につながりか
ねない。今後の協議は一段と厳しいものとなりそうだ。

(2010年7月20日03時04分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100719-OYT1T00804.htm