参院選の大きな争点に浮上した財政問題。選挙戦では、「かつての
自民党政権が悪い」「民主党がバラまきをやって悪化させた」と責任の
なすり付け合いが繰り広げられている。それならば−というわけで、
過去20年間の歴代内閣で財政赤字がどれくらい増えたかを検証したところ、
政治家と財政再建の意外な関係が浮き彫りになった。
国の財政赤字の変遷をみるうえで参考になるのが、大和総研の原
田泰専務理事がまとめたリポート。原田氏は、1990年以降の
歴代政権がどれくらい公債(国の借金)残高の累積額を増やしたかを検証している。
それによると、自民党の海部政権時代(89〜91年)は、赤字の
増加額が5兆円ほどに収まっていた。「バブル景気の余韻がまだ残っていた
」(原田氏)ため、ある程度の税収があり、国の借金は少なくて済んだようだ。
それが宮沢政権(91〜93年)から自民・社会・さきがけの連立で誕生した
村山政権(94〜96年)にかけて、徐々に赤字が拡大する。バブル経済の崩壊で税収が減ったためとみられる。
その後の橋本政権(96〜98年)は財政再建を打ち出し、
消費税率を3%から5%に引き上げた。赤字の増加額は一時的に減ったが、
98年度には約37兆円に急拡大。原田氏は「97年以降の不況で
財政支出を拡大せざるを得なくなり、赤字が拡大した」とみる。
続く小渕政権(98〜2000年)、森政権(00〜01年)でも30兆円規模で赤字が拡大した。
こうした流れに変化が出てくるのは、小泉政権(01〜06年)後半以降。
「公共事業などの支出抑制が成果を上げ」(原田氏)、赤字が縮小傾向になった。
安倍政権(06〜07年)と福田政権(07〜08年)では1ケタ台まで赤字が抑制された。
ところが、08年秋のリーマン・ショックに伴う不況に直面し、財政出動で
景気を下支えせざるを得ない状況に。麻生政権(08〜09年)から現在の民主党政権まで、40兆円超という規模で赤字拡大が進んでいる。
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_statesman__20100709_2/story/09fujizak20100709009/