<振り込め詐欺>サラリーマン化…スーツで出勤、家族手当も
7月2日14時1分配信 毎日新聞
アジトに毎朝“出勤”してだましの電話をかけ、報酬は月給制で「家族手当」も−−。振り込め詐欺組織が「サラリー
マン化」している実態が、愛知県警の調べで明らかになった。名簿や他人名義の口座などはリーダーが準備し、実行
役の部下を詐取額に応じた歩合制で競わせる。専門家は「役割の分担やルーティン化で罪悪感が薄れてきている」と
指摘している。【秋山信一】
◇部下誘い“起業”
「『詐欺専門会社』を営み、職業として犯行に及んだ」。6月1日に名古屋地裁であった振り込め詐欺事件の論告求
刑公判で、検察側はリーダーの男(43)=組織犯罪処罰法違反で公判中=を非難した。
県警や公判での証言によると、05年秋、男の経営していた教材販売会社が資金難に陥った。男は従業員を誘い、
資格取得講座の受講者から登録抹消手続き名目で現金を詐取することを計画。部下5人は名古屋市内のマンション
に“出勤”し、男が同業者から入手した名簿を基に電話をかけた。基本給と詐取額の1〜2%の歩合給で「家族手当」
を受け取る部下もいた。09年秋までに詐取したのは約5億2000万円。男は夕方にアジトに顔を出すだけで詐取額
の半分以上を得ていた。
◇毎朝10時に集合
愛知県警などが5月に摘発した東京都目黒区拠点の振り込め詐欺組織は、さらに露骨な歩合制を敷いていた。
県警によると、リーダーはコンサルティング会社社長の男(27)=詐欺罪で起訴=で、通信教育の受講者から受講
終了手続き名目で現金を詐取したとされる。男の報酬は月100万円以上だったが、部下3人の基本給は月20万円。
詐取額が月500万円以上なら35%増、50万円以下なら50%減などのルールがあった。部下は毎朝10時、近所に
怪しまれないようスーツ姿でマンションに集合。休みは日曜日だけで、多い時で1日約1000件の電話を夜8時まで
かけていた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100702-00000043-mai-soci