尼崎市のクボタ旧神崎工場周辺のアスベスト(石綿)被害で、工場周辺に住み、
中皮腫などで亡くなった人が、今月15日現在で190人に上ることが患者支援団体
のまとめで分かった。石綿関連疾患は潜伏期間が長いため年々増加傾向にあり、
この1年でも11人増えた。同工場周辺での健康被害が発覚した「
クボタショック」から29日で5年。今も被害が拡大していることを示している。
2005年6月、クボタは同工場で勤務した元従業員と周辺住民の健康被害を公表。
同社は因果関係を認めていないが、道義的責任として、工場から1・5
キロ圏に居住歴のある患者や遺族に、1人当たり2500万〜4600万円の救済金を支払ってきた。
支援団体「尼崎労働者安全衛生センター」を通じ、クボタに救済金を請求した被害者は
死者190人、療養者31人。同センターによると、周辺住民の死者は1978年に初めて確認され、
2004年以降は年間約20人で推移した。年齢層では70歳以上が65人と最も多い。
一方、クボタ元従業員の被害者は、昨年度末で170人(死亡144人、療養中26人)という。
同社は、周辺住民への救済金として、昨年度末までに191人に総額76億6千万円を支払った。
同センターによると、工場から離れた場所に居住していたなどの理由で、
救済金が支払われていない被害者が27人いるという。
同センターの飯田浩事務局長は「請求者の中には肺がん患者もいるが、まだ救済が少ない。
石綿を判定する専門家の養成とともに、肺がんの踏み込んだ調査をする設備が必要だ」と話している。
(横田良平)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003128542.shtml