http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20100623/CK2010062302000065.html 二十三日の沖縄慰霊の日を前に、県立大師高校(川崎区四谷下町)で二十二日
沖縄戦を指揮した旧日本陸軍の牛島満中将の孫で、東京都大田区立嶺町小学校教諭の
牛島貞満さん(56)が、沖縄戦の歴史などを伝える講演を行った。牛島さんは「意見の食い
違いを、戦争ではなく人間の知恵で解決しなければいけない」と訴えた。 (堀祐太郎)
同高校では、川崎や鶴見など臨海部に住む沖縄出身の生徒が多く通うこともあり、二年生が
総合学習で沖縄戦について学んでいる。二年秋の修学旅行では実際に沖縄も訪れている。
講演会で牛島さんは、二年生約二百人を前に「沖縄戦では、鉄血勤皇隊やひめゆり部隊
などみなさんと同年代の若者が犠牲になった」と語りかけた。米軍撮影の記録フィルムや
牛島さんが撮影した体験者のインタビュー映像を上映しながら戦禍を伝えた。
沖縄防衛の司令官だった牛島中将らの自決で、沖縄の組織的戦闘は終結したとされる。
祖父に向き合い「南部に撤退したことで住民への被害が膨らんだ」と指摘、米軍の本土上陸を
遅らせるための「捨て石作戦」と呼ばれる地上戦の実態を、生徒たちに伝えた。一方で、祖父が
戦争のさなかに米国の小説を読んでいたひめゆり部隊の女子生徒をしかりもせずに見守った
エピソードや、家族思いだった人柄を紹介。牛島さんは「軍隊は住民を守らない」「戦争は人を
変える」と強調し、平和の尊さを訴えた。
二年三組の権瓶奈津海さんは「弟を亡くした人の体験談などを聞いてつらかった。戦争ではなく
話し合いで解決することが大切だとあらためて考えさせられた」と語った。