【W杯】黒人はサッカー、白人はラグビー 南アを分断する壁
http://sankei.jp.msn.com/world/mideast/100611/mds1006112002009-n1.htm 【ロンドン=木村正人】サッカーのワールドカップ(W杯)の舞台、南アフリカでは、アパルトヘイト(人種隔離政策)が崩れ
1994年、マンデラ氏が黒人初の大統領となった。翌95年に自国で開催されたラグビーW杯で、優勝した南ア代表チーム
の黒人選手は1人だった。それから15年、今大会でピッチに立つ白人選手も1人だ。ラグビーとクリケットは白人、サッカーは
黒人というスポーツの壁が、今も「虹の国」を分断している。
「ブース!」。南ア代表チームで「キリン」の愛称をもつ長身のディフェンダー、マシュー・ブース選手(33)がボールに触る
度、観客席からは熱狂的な声援があがる。白人であるブース選手は黒人層に絶大な人気を誇り、今大会の超大型ポスターの
モデルにもなった。
かつて英国の自治領だった南アでは英国と同様、ラグビーやクリケットは白人富裕層に普及した。ボール一つあればどこで
でも楽しめるサッカーは、黒人社会にも広がった。
アパルトヘイト時代は人種ごとに4つのリーグが設立され、試合も別々に行われていた。80年代に緩和措置としてリーグは
1つに統合されたが、黒人との交流を嫌った白人社会からはプロチームや少年チームが姿を消した。
5歳でサッカーを始めたブース選手は、黒人居住区のチームに交じりプレーした。彼は「人種隔離政策に違反していたが、
アマチュアのサッカー選手だった父が勇気づけてくれた」と英BBC放送に語っている。