豊島をイチゴの島に

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1 ボウズハゼ(千葉県)

 脱サラして豊島(土庄町)にIターンした森島丈洋さん(29)が、初めて自らの手で栽培したイチゴを出荷している。
大学時代に産廃問題に触れ、交流が生まれた島民に「一緒に栽培しよう」と誘いを受け、移り住んで4年。
公害調停締結から10年の年に、ようやく独り立ちできるまでたどり着き、「豊島を〈イチゴの島〉にしたい」と夢を膨らませている。

 森島さんは岐阜県出身。立命館大2年生だった2000年、産廃問題を研究していた大学の先輩に連れられ、
公害調停が成立した直後の豊島を初めて訪ねた。

 森島さんは当初、あまり関心がなかったが、毎月のように訪問するうちに島本来の美しい自然と住民の素朴さに次第に魅せられた。
卒業してコンピューター関連会社に就職し、長野県に移った後も「島のために何かしたい」と漠然と思い、電話やメールで島民と連絡を取り合っていた。

 入社2年目の06年2月、豊島の農家多田初さん(45)らから「島の農業活性化に協力してほしい」と声を掛けられた。
風評被害を受けた「豊島みかん」に代わる特産品にと、イチゴを栽培していると聞き、「自分も力になれるかも」と移住を決意し、会社を辞めた。

 農業は初めて。1年間は多田さんのハウスを手伝い、翌年、自分でキャベツを作り始めると、畑は雑草に覆われた。
「コンピューターを扱うように、理論通りにはいかない」。
失敗してもめげずに3年間修業を続け、昨年7月、多田さんからビニールハウスを1棟借りて独立。
1人で栽培した約8000株は12月、初めて収穫を迎えた。

 豊島のイチゴは今、6戸が年間約50トンを生産し土産物として購入してくれる人も出てきた。
今年は森島さんも7月までに約4トンを出荷する予定で、
「まだスタートラインに立ったばかり。もっとおいしいものを育てて、島の人に恩返ししたい」と誓いを新たにしている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20100603-OYT8T01276.htm