東証1部上場の大手アパレルメーカー、レナウンは中国の繊維大手、山東如意集団(山東省)を
引受先とする第三者割当増資を実施し、同社の傘下に入る方向で最終調整に入った。
山東如意は約40億円で発行済み株式の約40%を握る筆頭株主になる。
中国大手の支援を受けレナウンは再建を急ぐ。
家電量販店大手の蘇寧電器集団(江蘇省)がラオックスの筆頭株主になるなど
中国企業の日本企業へのM&A(合併・買収)が増えている。
業績悪化に苦しむレナウンのような老舗が対象になる例も増えそうだ。
レナウンはワールドなどに次ぐ大手アパレル3位グループの一角。
2010年2月期の連結売上高は1290億円で、中国企業の傘下に入る日本企業としては最大規模となる。
レナウンはブランド売却など大幅リストラで、10年2月期の連結最終損益は109億円の赤字と、4期連続の最終赤字を計上した。
今期も経営環境は厳しく、経営体力の強化が不可欠となっていた。
中国8位の総合的な繊維・アパレル企業である山東如意集団は、
現在レナウン株式の25%を持つ投資ファンドのネオラインホールディングス(東京・港)を抜いて筆頭株主になる。
レナウンを傘下に収めることで日本市場に本格参入するとともに、
「ダーバン」など知名度の高いレナウンのブランドを、中国市場で展開できる。
レナウンはすでに一部ブランドを中国で販売しているが、山東如意の販売網を活用すれば、早期の事業拡大が見込める。
中国での低コスト生産に向けて山東如意の生産拠点も活用できる。
自動車大手のBYD(広東省)は日本の金型大手オギハラの工場の買収を決めるなど、
09年以降、中国企業による日本企業へのM&Aが相次いでいる。
日本の国内市場が縮小する一方で、日本企業がもつブランド力、経営ノウハウや技術力は、急成長する中国企業にとって活用の余地は大きい。
これまでは部品メーカーなど中間財を手掛ける企業の買収が目立ったが、
蘇寧電器によるラオックスに続き、レナウンも中国企業の傘下入りすることで対象がさらに広がる。
08年の世界同時不況以降、日本に比べて中国経済の立ち直りは早く、今後も日本への投資は活発になりそうだ。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819594E0E0E2E29C8DE0E0E2E7E0E2E3E29F9FEAE2E2E2